教会旋法

教会旋法一覧

各旋法の両端は基音とその下複合音律で、そのいずれかが終止音(Finalnote)とされます。

旋法名 基音 終始音 その他
第一旋法 (Drian 旋法) Primi Toni
第二旋法 (Hypodorian 旋法)
第三旋法 (Phrygian 旋法)
第四旋法 (Hypophrygian 旋法) Quarti Toni
第五旋法 (Lydian 旋法)
第六旋法 (Hypolydian 旋法)
第七旋法 (Mixolydian 旋法) Septimi Toni
第八旋法 (Hypomixolydian 旋法) Octavi Toni

十六世紀には以下の四種類の音階が追加されました。
この音階は、音楽評論家のグラレアヌス(Glareanus: 1488-1563)がその著「ドデカコルドン(Dodekachordon)」によって主張されたものです。

旋法名 基音 終始音 その他
第九旋法 (Aeolian 旋法) Noni Toni
第十旋法 (Hypoaeolian)
第十一旋法 (Ionian)
第十二旋法 (Hypoionian) Duodecimi Toni



第一旋法 : ドリアン(Dorian)旋法  (正格第一旋法)

Dorian

  教会旋法ではよく利用される旋法です。音階は短調に似ていますが、導音が含まれていません。

レ -- ミ -- ファ -- ソ -- ラ -- シ -- ド -- レ
長2    短2       長2     長2    長2    短2    長2

基音は、両端の音の『レ』です。音階は、短調に似ているが、ラ - シ、シ - ド の間隔が短調と違います。現代使用されている金管アンサンブルでは、ド - レ の間隔を、ド# - レとすることにより、導音を含んで演奏されることが多くなっています。
また、この第一旋法のことを、一般的に「Primi Toni」といわれています。
L.J.C.で演奏されている曲では、ガブリエリ作曲の「Canzon Primi Toni(第一旋法によるカンツォン)」などがあり、この曲についての編曲(Robert King 氏)も導音が含まれた物となっています。


第二旋法 : ヒポドリア(Hypodorian)旋法  (変格第一旋法)

ラ -- シ -- ド -- レ -- ミ -- ファ -- ソ -- ラ
長2    短2    長2     長2    短2       長2    長2

変格旋法とは、正格旋法の下基音から 完全 5 度上に上げた音を基音として始まる音階です。
正格旋法の対旋律として位置づけられていますが、短音楽で構成されていたため、第一旋法の変奏旋律と考えたほうが良いと思います。つまり第一旋法と、第二旋法の違いは基音が何であるかの違いでその呼び名が違うと考えられます。
第二旋法を使った曲では、「第二旋法による組曲」(クレランボー)などがあります。


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第三旋法 : フリギア(Phrygian)旋法  (正格第ニ旋法)

Pyrygian

現代使用されている和声や音階と結びつきにくい音階です。

ミ -- ファ -- ソ -- ラ -- シ -- ド -- レ -- ミ
短2       長2    長2     長2    短2    長2    長2

実際に音で聞いていただければお分かりのとおり、音階としては聞きなれない音階となっています。
短調とよく似ているのですが、ミ - ファ が短二度で構成され、第一音から第二音の音程に違いがあります。8つある旋法の中でも、この音程はフリギア(ヒポフリギア)旋法のみとなっています。
あまり使われ無くなった音階ですが、フリギア終止という終止法は教会音楽では非常によく使われています。(ファ → ミと進行する)
このフリギア終止は、「水上の音楽」(ヘンデル)などでも使用されています。


第四旋法 : ヒポフリギア(Hypophrygian)旋法  (変格第ニ旋法)

シ -- ド -- レ -- ミ -- ファ -- ソ -- ラ -- シ
短2    長2     長2    短2       長2    長2    長2

変格第ニ旋法となり、基音が『シ』になります。正格第二旋法(フリギア)と音程間隔は同じなため、基音の違いが旋法の違いとして認識されます。
また、第四旋法は、「Quarti Toni」と呼ばれており、有名な曲としては、「第四旋法によるミサ曲」(ヴィクトリア)などがあります。


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第五旋法 : リディア(Lydian)旋法  (正格第三旋法)

Lydian

基音の下が短二度のため、現代の音階に近い音階といえます。

ファ -- ソ -- ラ -- シ -- ド -- レ -- ミ -- ファ
長2    長2     長2    短2    長2    長2    短2

現代の音階で、♭ 一つの音階とよく似ており、その配列も長調と類似しています。しかし、第三音と第四音の間が長二度で構成されているところに違いがあります。
この旋法は、ルネッサンス後期に和声、旋律が確立されたことから、第四音に♭をつけた音階に変化しました。従って、その個性は失われてしまっています。(現代の長調と同じ音階配列になるため。)
「第五旋法による五声のプレリュード」(ジュリアン)などの曲が作品として世に紹介されています。


第六旋法 : ヒポリディア(Hypolydian)旋法  (変格第三旋法)

ド -- レ -- ミ -- ファ -- ソ -- ラ -- シ -- ド
長2     長2    短2       長2    長2    長2    短2

この音階は、リディア旋法の変格です。従いまして、実際は第六音『シ』の音に♭が付く音階となります。
作品としては、「第六旋法によるマニフィカト」(ヴィラールト)、「第六旋法によるリチェルカーレ」(アドリアーノ・バンキエッリ)などがあります。


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第七旋法 : ミクソリディア(Mixolydian)旋法  (正格第四旋法)

Mixolydian

響きが豊かな、明るく開放的な旋法です。

ソ -- ラ -- シ -- ド -- レ -- ミ -- ファ -- ソ
長2     長2    短2    長2    長2    短2       長2

基音の下の音が短二度ではなく、長二度となっていることにより、非常に開放的なイメージを受ける音階です。ガブリエリの音楽をご存知の方であれば非常に慣れ親しむことの出来る旋法です。
また、第七旋法のことを「Septimi Toni」といい、L.J.C. でもこの旋法の曲を演奏したことがあります。「Canzon Septimi Toni a8(第七旋法によるカンツォン)」はその代表的なものです。


第八旋法 : ヒポミクソリディア(Hypomixolydian)旋法  (変格第四旋法)

レ -- ミ -- ファ -- ソ -- ラ -- シ -- ド -- レ
長2    短2        長2    長2    長2    短2    長2

第七旋法と並んで非常に多くの曲で使用されています。短音階に似ているのですが、第六音と第七音の間隔が長二度となっています。
第八旋法は、「Octavi Toni」とも呼ばれ、L.J.C. の得意とする作曲家の一人、ガブリエリでも「Canzon Octavi Toni (第八旋法によるカンツォン)」という作品を作っています。


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第九旋法 : エオリア(Aeolian)旋法  (正格第五旋法)

Aeolian

現代の和声音階に発展した旋法と考えられています。

ラ -- シ -- ド -- レ -- ミ -- ファ -- ソ -- ラ
長2    短2    長2     長2    短2       長2    長2

第二旋法と同じように見えますが、第二旋法は終始音(基音では無い)が、第一旋法と同じ『レ』の音になります。この第九旋法は、基音が『ラ』になり曲の始まりや終わりにこの音が使われます。
従いまして、現代の短音階はこの第九旋法から発展したと考えられ、「イ短調」はこの音階といっても過言ではありません。
また、第九旋法のことを、「Noni Toni」といわれ、「Canzon Noni Toni a 8 (第九旋法によるカンツォン)」(ガブリエリ)などがあります。


第十旋法 : ヒポエオリア(hypoaeolian)旋法  (変格第五旋法)

ミ -- ファ -- ソ -- ラ -- シ -- ド -- レ -- ミ
短2       長2    長2     長2    短2    長2    長2

第九旋法の変格にあたる第十旋法です。この旋法は、第三旋法とよく似ておりますが、これも第十旋法と同じく終始音(基音では無い)が違います。第三旋法では、『ミ』の音が終始音ですが第十旋法は、第九旋法と同じく終始音は『ラ』の音になります。
この旋法で作られた曲には、「第10旋法のリチェルカーレ」(パレストリーナ)などが存在します。


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第十一旋法 : イオニア(ionian)旋法  (正格第六旋法)

現代の和声音階に発展した旋法と考えられています。

Ionian

ド -- レ -- ミ -- ファ -- ソ -- ラ -- シ -- ド
長2     長2    短2       長2    長2    長2    短2

第九旋法と同様に、この旋法は現代の和声音階に発展したと考えられております。第六旋法と同じように見えますが、第九、第十旋法と同じように終始音が違います。
第六旋法は終始音が『ファ』であり、この第十一旋法は『ド』が終始音です。これは、現代の長調音階と同じものとなっており、「ハ長調」はこの旋法から発展したものと考えられています。
この第十一旋法を使用した曲には、「第11旋法のトッカータ第1番」(クラウディオ・メルロ)などがあります。


第十二旋法 :ヒポイオニア(hypoionian)旋法  (変格第六旋法)

ラ -- シ -- ド -- レ -- ミ -- ファ -- ソ -- ラ
長2    短2    長2     長2    短2       長2    長2

基音が『ラ』である第十二旋法は、第二旋法とよく似ております。しかし、上記と同じく終始音が違い、第二旋法は『レ』、第十二旋法は『ド』となっています。
私たちがよく演奏するガブリエリの曲にもこの旋法が使われた曲が多く残されており、曲全体は非常に明るく天に昇っていくようなイメージを連想させられるようなものとなっています。
また、この第十二旋法のことを、「Duodecimi Toni」といわれ、「Canzon Duodecimi Toni」などがどう作曲家によって作曲されています。


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